「この世界の片隅に」を観てきました。
素晴らしかった…(のんの演技、コトリンゴの音楽、作画、原作の忠実さなど)
私の祖母が大正15年生まれでまさにすずさんと同世代だと思うのですが、もっと当時の話たくさん聞いておけばよかったなあ…と思います。
この映画、戦争の悲惨さを描いた正統派としての側面はもちろんあるんですが、戦争映画としてではない要素も大きいな~という感想を抱いたのでちょっと拾ってみました。
・ギャグが普通に笑える
すずさんのドジっ子によって巻き起こる数々の小さいハプニングがなかなか面白くて、映画館もそこそこ沸いてました。
・家事の描写がリアル
いろいろな場所でも言われていますが、こういった描写の積み重ねで生活感を醸し出してくれるので、すずさんが身近。あとしっかり時代考証をやってるんだなという骨太さも感じられてよかった。
・すずさんと男性陣との夜の絡み()がそこそこ生々しい
周作さんとの初夜や水原さんとの離れでのシーン、この絵柄・作風の作品にしては意外でした。でもそれに変な違和感を覚えるというよりは一人の女性の人生ドラマを丁寧に描いているんだなという印象。だってすずさんの年齢の女性なら、男性とのああいう関係性ってそれなりに大きな出来事ですもんね。
「この世界の片隅に」というタイトルもすずさんと周作さんの会話に出てくる、戦争がどうこうというよりは夫婦愛を感じるセリフですし。
・嫁いだことへの不安
すずさんの北条家での生活、まぁ義姉がちょっとキツいとはいえそれなりに充実してそうなんだけど、実家に帰ったときの安心感や知らない土地での不安が垣間見えてわかるぅ~~!!という気持ちになりました(※嫁いだことない
「この世界の片隅に」はあくまですずさんの生活者としての人生を丁寧に追いかけたものであって、別に「戦争」を中心に見つめようとはしてないんですよね。
一人の典型的な女性の、仕事、恋愛、家族、などなどをまったくフラットに描いているだけなのに、どうしても視界に入ってきてしまうのが戦争というファクターなんでしょう。
現代日本人の生活をリアルに描くためにスマホ描写がどうしても入ってきちゃうのと同じ…みたいな。不可避というか。
そこで描かれる「戦争」要素に必ずしも悲壮感があるわけじゃなく、なんなら皆で協力しあって生きていけるこの時代も悪くなさそう…?と一瞬思ってしまいました。
でもところどころ挟まる「○○年×月」といったキャプションでどうしても原爆投下日を意識してしまうし、はるみさんの件でそんな日常は吹き飛んでしまうわけですが…。
普段の生活の描写が私たちにとっても身近な分、いきなり猛威を振るっていく怖さがありました。
でも絶望に打ちひしがれて終わるわけでもなく、すずさんにもう一回会いたいな~という気持ちにさせてくれる映画でした。もっかい観たい。