三浦大知 「球体」の各所での高評価を受けて、改めてNao'ymt氏の名曲たちを振り返ってみる記事です。
※2018年作成の記事ですが2023年に加筆修正しました
私のNao'ymt(以下ナオさん)に対する知識は以下です。
2005年以降の安室奈美恵 大躍進を支えた立役者の一人。冷静に15~20%くらいはナオさんのおかげだと思う
ナオさん楽曲の4~6割くらいは知ってる(三浦大知 /安室奈美恵 /Jine/黒木メイサ 提供楽曲全て、Nao'ymtコンピアルバム持ってる、矢的ソロ名義楽曲の一部、その他ちょろちょろ)。leccaさんLUNAさん提供曲は実は把握してません、すみません
重い過去を抱えていそう。ソロ名義の曲がめっちゃ重い
安室奈美恵 Queen of Hip-popを聴いたときからお名前は憶えていたので何気にそこそこ古参かも。Jine時代から追ってる方に比べたらにわかですが…
少なくともメジャーなポイントは押さえてると自負しています。(笑)
そんな私がNao'ymtの歴史をざっくり分けるなら、
1998年~2004年 R&B ユニットJineでセルフプロデュース期
2004年~2013年 安室奈美恵 ・他R&B 系がっつり提供期
2010年~ 三浦大知 ・他R&B 系がっつり提供期
2013年 矢的直明ソロ制作
2014年~ 寡作・休養なされている?(憶測)
2018年 球体発売
2019年~ メジャー/非メジャーボーカリスト とのコラボをちょくちょく発表
といったところ。年号は適当です。
なお安室ちゃんの一つ年上だそうです。(=1976年生まれ?)
「球体」は、こういった20年間(!)の中で少しずつ垣間見えていたNao'ymtの音楽性が融合して、一つ上の次元に行ってるような印象を受けます。
2014年以降の寡作に見えた期間は、今思えばその進化のための準備期間だったのかもしれません。
Nao'ymtの音楽性はかなり幅広いですが、私の独断による分類では
①矢的オリジナル系(和、仏教チック、内省的)
②ダンサブル&強め系
③優しい励ましミッド系
④とにかく王道良R&B
に分かれます。
「球体」は①の要素が中心にありつつ、②③④が少しずつ混ざっているのかなと。
ということで、各カテゴリの代表曲を紹介していきたいと思います。
①矢的オリジナル系
代表曲
Complicated(矢的直明”大晦日 ”)
Lil' GoldFish(コンピレーションアルバム"Nao'ymt wit 1st Season ")
No Respect(Jine”Classics”)
If I said(Jine”Classics”)
all converge on the one(三浦大知 "The Entertainer")
最たるものはやはり矢的直明(=Nao'ymtソロ)名義の楽曲 ですね。
例えばこの曲。
Complicated (矢的直明”大晦日 ”)
幽玄と言えばいいのか。でも幽玄と言い切れるほど人間味を捨てきっているわけでもなく…。彼岸の何か(誰か)を希求する人間の切迫した感情、という感じ?(伝われ)
R&B畑の1コンポーザー、という括りはどう見ても超越しているのがお分かりいただけるでしょうか
また、名曲ぞろいのNao'ymtコンピアルバムの中でも特に好きなのがLil’Goldfish という楽曲。
「夏の終わり」という概念は日本の”エモ”代表のように扱われて久しく、毎年いろいろな楽曲が出ていますがそんな情緒をこんなに色濃くR&Bに落とし込んでしまうのは天才の所業。まりかさんのボーカルも素晴らしい。
夏の終わりソングといえば…の森山直太朗 や井上陽水 の歌って少年性やノスタルジア を感じるのですが、この曲にかんしてはこのアルバムジャケットの九尾狐のビジュアルも相まってこの世ならざる何かに惹かれているような危うさを孕んでいるんですよね。上記Complicatedとも通じるますが。それがまた夏の終わりの雰囲気と合うのです。夏の終わり、ひぐらし の鳴き声が聞こえる神社で何かに誘われてるような…。たまらんね。
そして知る人ぞ知るR&BボーカルユニットJine。 ナオさん自身が所属していました。この曲を①に入れるのは少し乱暴かもと思いつつ、内省的・喪失感があるという点でこちらにカテゴライズ。
そして、盟友三浦大知 に提供したall converge on "the one" (2013年)は球体へとつながる伏線だったように思います。タイトルもそこはかとなく球体ちっく・仏教的じゃないですか?輪廻的な…。
三浦大知 らしいキャッチーなダンスナンバーが並ぶアルバム”Entertainer”の中でトリを飾るこの曲、むしろトリに置くしかなかったんだろうなというくらい異色でした。2013年当時は少し驚いたのですが、5年後に球体を聴いてこの曲を真っ先に思い出し、なるほどなと合点がいったわけです。
②ダンサブル&強め系代表曲
世間的にはNao'ymtといえばこれ!って感じ。
代表曲
Queen of Hip-pop(安室奈美恵 "Queen of Hip-pop")
No(安室奈美恵 "Queen of Hip-pop")
Hide&Seek(安室奈美恵 "PLAY")
FULL MOON(安室奈美恵 "PLAY")
Do Me More(安室奈美恵 "BEST FICTION")
Dr.(安室奈美恵 "Past<Future")
Defend Love(安室奈美恵 "Past<Future")
UNUSUAL feat.山下智久 (安室奈美恵 "Checkmate!")
Unlock(三浦大知 "FEVER")
Delete My Memories(三浦大知 "Who's the man")
Inside Your Head(三浦大知 "Who's the man")
Can you see our flag wavin' in the sky?(三浦大知 "The Entertainer")
Black Hole(三浦大知 "D.M.")
本当はあと15曲くらい挙げたいけど泣く泣く厳選。
ナオさんがプロデューサーとして世に出るきっかけとなった安室ちゃんのQueen of Hip-pop 、
超名盤"PLAY"のリードトラックHide&Seek 、
ダブステなどを取り入れたサウンド が変態的な、三浦大知 Black Hole あたりは必聴。
ボレロ を取り入れたり壮大なストーリー仕立てだったりとかなり実験的なDr. 、
あとDr.の続編Defend Love の歌詞がNao'ymt節炸裂で面白いです。 安室ちゃんのダンスナンバーに「暗澹たる」「独善的争い」とか、ちょっと難しめの漢字2字の熟語が出てくるとナオさんだ!と思います(笑)
なお、私くらいのレベルになると三浦大知 がリリースするたびに利きNao'ymt (※Nao'ymt楽曲か否かをクレジットを見ずに判定する遊び)を嗜むんですが、最近だとBackwardsの歌詞に「人生の格子」が出てきた瞬間ナオさん楽曲であることを確信できました。(笑)
何だろうな、思うに、ナオ氏はSFや幾何学 的なもの、自然科学的なものがお好きなんじゃないかと思うんだよな~。球体も生物学モチーフが使われてますよね。
※参考1:安室ちゃんおよび自分のキャリアについて語る2017年のNao'ymt氏
ursidae.hateblo.jp
ursidae.hateblo.jp
※参考2:新進気鋭のプロデューサーとして取り上げられていた2008年当時の記事
tower.jp
③優しめ励ましミッド系代表曲
代表曲
Baby Don't Cryは言わずもがな。
Contailもナオさん的に思い入れのある楽曲だそう。
大知だとAnchorやDarkest Before Dawnかな。
VIDEO youtu.be
数はそんなに多くないですが、タイアップで使われたりライブのアンコールで使われたり、印象に残りやすい曲が多いですね。
④とにかく王道良R&B
アーティストの色に寄せるのも大得意ではありますが、もともとR&Bのユニット出身ということを考えると彼のホームはこれという感じではあります。
代表曲
CHEMISTRY のWhy は、ナオさんにしては音数の少ないシンプルなメロディなんですがケミの美声にも押し上げられた至高の1曲。冬になると絶対聴きます。
Possibility (BoA /三浦大知 ) はまず関わってるメンツからし て約束された神作品ですが、PVも素晴らしいんですよね。楽曲コンセプトをダンスで表現し切った名作です。BoA /大知の目が絶対に合わないところに注目。
VIDEO youtu.be
そして↓このアルバムNao'ymt wit 1st season はまじで良い曲しかない(語彙力)。とりあえず試聴してみてください
まとめると
"球体"につながる要素を感じたい人は ・Jineのベストアルバム ・矢的直明ソロアルバム ・Nao'ymt wit 1st Season ・三浦大知 all converge on "the one"
踊れるNao'ymtが聴きたい人は ・安室奈美恵 "PLAY" "Queen of Hip-Pop" ・三浦大知 "Who's The Man"
から入ると効率が良さそう。ということです。笑
まあこのページを見に来るような人はここに挙げた楽曲なんて全て知ってるだろうな~と書き終わってから思いました(笑)
三浦・安室以外の曲も勉強したい。
あとこれは安室&三浦ファンの妄想ですが、
ナオさんは安室奈美恵 と三浦大知 という稀代のスターに対して、特別な思い入れを持っているんじゃないかと思ってます。
ナオさん個人の作家性は、どちらかといえば内向的・内省的というか「陰」寄り。時代をリードしていく強さ、衒いのない希望や優しさといった「陽」の要素を全て安室奈美恵 や三浦大知 に託しているような印象です。(例. Hide&Seek、Contrail、Can You See Our Flag~~?)
ナオ⇔安室間、ナオ⇔三浦間でそれぞれお互いにないものを引き出し合っているというか。
これだけでもアーティストとの信頼関係を感じられて、あなたたちお互い同じ時代に生まれてきてよかったね〜!と嬉しくなるわけです。
ですが、球体で見られる三浦大知 とのタッグは特に特筆すべきもので、今回の「球体」では、陽側の三浦大知 がナオさん側に寄っていって、ナオさん自身の個性をそのまま表現した点が画期的だと思います。
従来のアーティスト・コンポーザーの関係と逆転してるわけで、しみじみすごい現象です。
安室×Nao'ymtのタッグがこれ以上見られなくなってしまって絶望してる今、大知に期待。